今回は、住宅ローンの審査についてのお話しです。
そろそろ住宅を購入しようかな。というタイミングはどなたにも来ると思います。
大抵、ポータルサイトでどんな家がいくら位で売っているのかを見て、とりあえず不動産屋さんに見に行ってみよう。
いくつか不動産を見学すると、営業マンが資金計画がお済でなければ、何がいくらかかるかお出ししましょうか?
「じゃあ、参考に出してもらおうか」
こんな感じで進んで行くのではないかと思います。
さて、ここで注意が一つあります。
確かに、このやり方でも良いと言えば良いのですが、少しの工夫をするだけでもっと有利にお金を借りることができるかもしれないことをご存知でしょうか?
資金の計算は、不動産会社に行く前にしておくのがベストです。
何故かと言うと、今すぐに借りずにタイミングを見た方が有利に借り入れできる可能性があるからです。
この説明をするためには、銀行が何を見てどう審査しているのか?を知る必要があります。
銀行が審査上で見るポイント
では具体的にどのような点について銀行はチェックをしているのか順に見ていきましょう。
年収
まずは肝心かなめの、収入です。
住宅ローンは長期の返済をするものですから、返済を安定して払ってゆく為の原資である収入はとても重要な要素です。
年収は高いに越したことはありませんが、高すぎると逆に足かせになります。
というのも、銀行は年収の再現性を見ているからです。
仮に現在の会社を退職して違う会社に勤める事になった場合、同じ年収が得られるかどうか?という部分。
年収が高ければ高いほど、再現性は低くなる傾向があります。
逆位年収が低い人の場合、別の会社に転職しても同じ程度の年収を得やすいという判断がなされます。
また、自営業者の場合は、売上げではなく、所得。つまり売上げから経費を引いた金額がいわゆる年収としてカウントされます。
返済比率
予定している住宅ローンの返済額が年収に対して何%か?について計算をします。
年収300万未満の場合25%未満~中略~700万以上の場合は40%というように、年収により段階的に返済比率の上限を決める銀行が一般的です。
また、長期固定の場合は当該金利で返済比率を計算しますが、変動金利での借り入れを希望する場合、現状の金利にかかわらず、4%の金利や10年固定の金利を返済比率計算用の金利として審査をする銀行もあります。
年収の6倍までが借入限度という銀行や、家族一人当たり年間60万として計算し、収入から控除し、可処分所得から返済余力を計算する銀行もあります。
よく誤解されていますが、この返済比率をクリアしたから借りれる。という保証はありませんので注意が必要です。
また、住宅ローンの返済比率の審査においては、住宅ローンだけではなく既存の借入全てが含まれます。
車の返済、クレジットカードのキャッシング枠、リボなども含まれますので注意してください。
自己資金
言うまでもなく、多ければ多いほど審査は通りやすくなります。
但し、同じ自己資金が1,000万円ある場合でもその自己資金の中身を見られる場合があります。
自分でコツコツ努力して貯めた自己資金なのか?親からの資金援助で得た自己資金なのか?ということです。
前者の方が銀行の印象は良いことは言うまでもありません。
銀行は絶対言いませんが、自己資金ゼロの場合の審査は非常に厳しいです。
何故かと言うと、自己資金ゼロ=貯金ができない人。という判断をしているからです。
その為、
●親からの資金援助800万、自己資金200万
●親からの資金援助200万、自己資金800万
の二つであれば、圧倒的に後者の方が評価は高くなります。
特に高年収で、自己資金ゼロの場合、銀行の印象はかなり悪いです。
購入物件価格の20%程度の自己資金を入れたいものです。
勤務先、勤続
職業に貴賎はない。と言われますが、銀行の住宅ローン審査において明らかに差があります。
審査上一番良いのは、なんと言っても公務員です。
安定性抜群ですね。
以降、一部上場企業、二部上場企業、、、と続きます。
自営業はこの部分では非常に不利です。
信用情報
過去、どこの金融機関からいくらお金を借りてどう返済したのか?という情報が共有化されています。
借りたお金が返済できない場合、いわゆるブラックリストに載ったという表現をします。
よく誤解されていますが、貸し倒れの時以外でもブラックリストに載るということです。
例えば、毎月10日の支払いであるべきところ、10日に残高不足で、20日に支払った。という場合も「返済延滞」という履歴が載ります。
たった10日ですが、これもブラックリストの一部です。
貸し倒れではなく、返済遅滞の場合2年程度の履歴が残ります。
繰り返しになりますが、住宅ローンは長期の返済能力が求められる金融商品です。
小さな借入の返済が、まともにできない人と銀行が判断した場合、住宅ローンの借入は不可となります。
ご自身の信用情報を確認するためには、信用情報会社に開示申請を出せば可能です。
主要な3団体を紹介します。
表向きでは情報共有されているとのことですが、筆者の経験では、漏れがありますので、万全を期すには3箇所で自分の信用情報を確認することをお勧めします。
全国銀経協会
CIC
JICC
調査の結果、使っていないクレジットカードなどがありましたら、銀行審査の前に解約をしておくことをお勧めします。
特にキャッシングの枠は、例え借りていなくても、返済比率に参入する場合がありますので、注意が必要です。
尚、解約をしても数カ月はデーターが消えない場合がありますので、注意が必要です。
資産状況
晴れの日に傘を貸し、雨の日に取り返す。という皮肉を言われる銀行ですがあながち間違っていません。
立場を変えて、もしあなたがお金を貸すのなら、
A資産が1億ある人
B資産ゼロの人。
安心して貸せるのはどちらでしょうか?
いうまでもなくAさんです。
銀行も同じです。
同じ借り入れをするにしても、資産がたくさんある人に貸したい。と思うのは当然のことです。
従って、現在の退職金見込み、イデコなどの積立状況、不動産購入には使わないが手元にある現金、有価証券、定期積立等、資金的に余裕があるのでしたら、隠すことなく情報提供した方が良いです。
自然さ
例えば、独身の人が3LDKのマンションに住むというのは、合理的とはいえません。
銀行から見たら、なぜ独身なのに3LDK?と不思議に思うものです。
また、現実的に通勤できないような場所に住宅を購入するもの不自然ですし、親の家を子供が買うという事も不自然です。
家族5人いるのに2LDKのマンションを購入するのも不自然です。
不自然な融資の裏には、不正融資あり。と銀行は疑います。
疑いが強ければ強いほど借入できる可能性は低くなります。
購入物件評価
銀行は「人」と「物」について審査をします。
その「人」にお金を貸せるか?その「不動産」にどれだけのお金を貸せるか?という二点です。
万が一貸し倒れになった場合、銀行はその不動産を強制的に売却して貸出金を回収することになります。
貸したお金を回収できる見込みのない不動産には融資をすることはできません。
貸すお金と売却想定金額を比較し、売却想定価格が上回れば上回る程、貸し出しやすくなります。
優遇金利
フラット35は表示金利での貸し出しとなりますが、都市銀行などの住宅ローンは店頭表示の貸し出し金利からディスカウント金利を利用できる場合があります。
各銀行によって、ディスカウント金利の審査は違いますので、比較すると良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ローン返済は25年から35年程度になることも珍しくありません。
逆に言えば、その間何事もなく生活が安定するか?
しなかったらどうなるのか?ということをある程度想定して、不動産を購入することをお勧めします。
いざと言うときに売却することも十分あります。
不動産を売却する場合、残っている住宅ローンを全額返済する必要があります。
自己資金が少なければ少ないほど、売却時に赤字なる可能性が高くなります。
赤字を補填することができなければ、売るに売れない状態に陥ってしまう可能性が高くなってしまいます。
自己資金の額、過去の返済履歴、銀行が貸してくれることと、返済ができることはイコールではありません。
特に、昨今はリストラや離婚が当たり前にあります。
家を買える喜びの後は、借金を返済する苦しみが待っています。
家を購入することがゴールではありませんし、家が全てではありません。
お金の苦労なく生活ができるかどうか?
ご自身の人生設計については、ここがポイントです。
銀行の借入を少しでも有利にするためには、本記事で書いた各要素を充実させることです。
銀行からみて「貸したい人」と思われることができれば、有利な条件で借り入れができます。
その為に、準備する時間を取ることも重要です。
計画を立てて行動してみてくださいね。
[quads id=1]