給料を上げてもらう代わりに生命保険

生命保険

普通の人生を送っていれば、生命保険に入る事がある。というよりも入っていますよね。

この生命保険。
全く理不尽なシステムだという事を知っているでしょうか?

この記事を書いている時点で、所得控除の対象になる保険は、生命保険料控除と地震保険料控除です。

ちなみに所得控除とは、本来所得金額に対して所得税、住民税がかかるのですが、生命保険等に加入していると一定金額が所得から差し引かれて税額が計算できるというものです。

では具体的に見ていきましょう。

2012年に所得控除の計算が変わったので、本来は旧制度と新制度を比較するのですが、ややこしくなるので新制度だけで行きましょう。

話を分かりやすくするために端折ってお話ししますね。
それでも分かりにくいのですが、頑張って簡単に話を進めます。

所得金額から差し引ける控除により、直接的に所得税と住民税が変わります。

所得から差し引ける生命保険とは以下の通りです。
一般生命保険、年金生命保険、介護医療保険

どの位所得から控除できるかと言うと、年間保険料の合計が
年間20,000円以下:全額控除
年間20,000円超40,000円以下:(払込保険料×1/2)+10,000円:max30,000円
年間40,000円超80,000円以下:(払込保険料×1/4)+20,000円:max40,000円
年間80,000円超:一律40,000円
となります。

つまり、
月額7,000円の保険に加入すると、年間84,000円ですから、所得から40,000円控除できることになります。

ここまでお読みになって、年間40,000円も変わるのか!
と思いましたか?

実はこれ。
焼け石に水程度の効果しかないのです。

何故でしょうか?

所得税のシステムは複雑怪奇。
ワザと分からなくしているのではないかと思う位です。

基本的なことを書きますね。

まず収入があります。
自営業者さんの場合は、確定申告の左上の金額。
会社で言えば、総売り上げです。

サラリーマンで言えば、総支給額になります。
額面の収入と言っても良いですし、源泉徴収票の一番左上に書かれる金額です。

いわゆる年収ですね。

はい、では次です。

収入から経費を引いたものが所得です。
自営業者の場合は、売上げから経費を引いた金額になります。
確定申告書の覧は「所得」ですね。

サラリーマンの場合は、源泉徴収票の左上の金額の、その右側の金額です。

これが所得金額ですね。

この所得から生命保険の控除金額を引いて税率をかけて計算します。

つまり、(所得-生命保険料控除)×税率=税金
ということになります。

さてそろそろ気が付きましたか?

月額7,000円の生命保険に加入した場合、年間40,000円の生命保険料控除が受けられるという意味が。。。

そう、年間40,000円税金が安くなるのではない。ということです。

所得税率は、5%~45%の累進課税ですが、一般のサラリーマンは10%~20%の税率です。

ということは?

生命保険料控除が年間40,000円あっても、税金が安くなるのは、4,000円~8,000円という事になります。
生命保険
もちろんそれだけのお金でもお金はお金。
4,000円でも8,000円でも手元に残るに越したことはありませんが。

生命保険を投資としてみると、年間84,000円の投資で、税控除が4,000~8,000円。
万が一の保証があるとは言え、良い投資とはいえません。

何故良い投資と言えないかというと、法人が加入する生命保険とは圧倒的に違うからです。
法人が加入する保険は、半額損金タイプや全額損金タイプも珍しくありません。

どういうことかと言うと、全額損金タイプの場合、年間84,000円払った場合、会社の利益から84,000円控除できます。
法人の税率は19%~23%程度ですから、節税額は15,960~19,320円となります。

これだけでも、2倍~4倍程度の差が出るのですが、話しはここで終わりではありません。

法人の利益の中から個人の給料が支払われる訳です。

84,000円の保険料を個人で払うか、会社で払うか?
個人で払う場合は、給料として受け取った中から払うことになります。

給料で受取るということは、その分、社会保険、雇用保険、年齢によって介護保険もその分上がることになります。

つまり、個人で生命保険に入る位なら、その分給料を減らしてもらって法人で生命保険をかけたほうが圧倒的に得なのです。
給料を上げてください!というよりも、経費で生命保険に入ってください!という方がお互いにメリットがあるのです。
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杉山善昭先生お金の仕組み研究家

投稿者プロフィール

(有)ライフステージ代表取締役、(公社)神奈川県宅建協会中央無料相談所相談員
任意売却に精通する宅地建物取引士であり、金融知識が豊富。
投資家としてビジネスコンサルも手掛ける。
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