最近リバースモーゲージという手法の資金調達が流行ってきました。
一言で言えば、自宅を担保にお金を借りることです。
実はその中身は、借金なのですが、今のところイメージ戦略がうまく行っているようです。
「充実人生」というネーミングで商品を展開する東京スター銀行が先駆者と言っても良いと思います。
公式サイト:http://www.tokyostarbank.co.jp/products/loan/homeloan_jyujitsu/
「担保にした自宅に住み続けることができる」がウリとしています。
自宅を担保に借金をしているだけなのでプロから見れば当たり前。
住めて当たり前なのですが、一般の人には分かりやすくて良い印象を与えています。
この商品が提供する価値は、「自分の楽しみにの為にお金を使えます」という事です。
突き詰めて行くと、自宅を担保に借金をして遊びにお金をつかいましょう。という恐るべき内容なのですが、時代なのでしょうか。
利用者は前年度比で4倍もの利用があったそうです。
また松本信用金庫もリバースモーゲージサービスを始めたと報道されました。
この流れ、確実に増えてゆくものと思われます。
住宅ローンの終わった人の不動産は、いわば眠った資産です。
この資産を動かすために、国は相続税を上げました。
民間は、浪費を誘って高齢者にお金を使わせるようにしているのが分かります。
確かに死んであの世にお金がもっていけるわけではないので、自分たちの財産は自分たちで使おう。というのはごもっともな話です。
さてこのリバースモーゲージ。
メリットもあればデメリットもあるのが世の常。
リバースモーゲージのデメリット
先に商品の概略を説明しますね。
利用できる人は年収120万円以上ある人。
契約者は持ち家を担保に入れ借入をします。
充実人生のパンフレットを見ると、金利が3%と記載されています。
もちろん、案件により金利は変わると思いますが、パンフレットには一番低い金利を書くことが通例ですから、最低3%としてみておけば良いでしょう。
生存中は利息だけの返済が可能です。
利息は使った分だけ。
死後に担保物件を売却しても良し、現金で返済しても良し。となります。
これだけ読んでデメリットが分かったとしたら、なかなか金融知識に長けていると思います。
ではデメリットを見ていきたいと思います。
一般のローンは元金均等払い若しくは元利均等払いです。
充実人生は、元本返済期日(借入本人の死亡時より6か月後)に一括返済となっています。
つまり、一般のローンは返済が進むとその分支払わなければいけない金利も減りますが、充実人生の場合一旦借入をすると、元金を一括で返済するまで借入金額に対して100%の金利を負担することになります。
また、夫が借り入れ名義人で死亡、配偶者が相続した場合、配偶者の年収が120万円に満たないと利用対象者から外れますので一括返済要求をされることになります。
配偶者の相続時が大きなポイントになることが分かります。
夫が亡くなった場合、配偶者が住んでいても家を売らなければいけないかもしれません。
商品のパンフレットをよく読むと自宅に融資額の120%に相当する根抵当権を設定する。と書いてあります。
このことから推測と、貸出金はそのまま預金口座に入金されるという事になると思われます。
例えば、3,000万の借入枠があるとすると、根抵当権は3,600万、借入は3,000万、預金も3,000万といったぐあいです。
預金相当分までは、借入の利息は取られない約定になっているのでその点は問題ありません。
根抵当権の金額も貸し出し額の120%は一般的によくあるパターンなので、おかしくありません。
では何が問題なのか?ということですが、巧みな心理学を用いている点。
おそらくこの融資。
申込者が「ウチは100万円でいいです」と言ったとしても、評価枠いっぱいの融資を進めるはずです。
理由は、根抵当権をmaxで設定しておけば、後々手間がなく利用者側もコストを負担せずに済むからです。
不動産で3,000万の評価があったとしても普通、人は散財しません。
現金化するのが大変だからです。
しかし、目の前に3,000万円入りの預金があったら。。。
多くの人が使ってしまうと思います。
20万円使って毎月の返済が500円ですから、100万円使ってしまっても返済はわずか2,500円です。
元気なうちに旅行でも行こうか。となっても何らおかしくありません。
この仕組みは正に、本来動かないお金を動かすための秀逸なものです。
リバースモーゲージのメリット
では逆にメリットを考えてみたいと思います。
端的に言えば、使った分の利息以上に利益の出る用途に使うのなら、この仕組みのメリットが十分生かされます。
分かりやすい例が有価証券です。
年利で3%以上の手取りがある投資なら、リバースモーゲージで資金調達をして有価証券を購入するのだってありです。
日本の不動産リート一覧をご覧いただくと分かりますが、3%以上の利回りの不動産リートはゴロゴロしています。
この記事を書いている時点でもっとも高利回りのリートは7.19%の配当利回りです。
この数値だけ見れば多少、値動きがあったとしても全く問題ないレベル。
リバースモーゲージまとめ
いかがでしたでしょうか?
リバースモーゲージのメリットデメリット。
充実人生という商品を引き合いに出しましたが、商品名に限らずリバースモーゲージというくくりは基本みな同じです。
浪費や思い出作りのためにリバースモーゲージを利用すると、ついつい使いすぎてしまうというデメリットがあります。
逆にこの仕組みを利用して利益を出すことができるのならメリットが発生するということです。
ただ、投資や起業の世界は先行きが不透明な世界ですので、イチかバチかの勝負はしないほうが良いですが。。。
筆者がご紹介した不動産のリート(Jリート)は不動産の家賃収入を分配するものなので、比較的値動きが安定していてリスクは低め。
オススメの投資商品です。
仕組みを知って賢く行動しましょう。