勤続年数と年収は無関係になる時代
- 2019/11/13
- お金の知識
こんにちは、杉山善昭です。
今回のテーマは「終身雇用」です。
終身雇用制度については今更説明するまでもないと思いますが生まれた背景を知っている人は少ないのではないでしょうか?
戦中前後、極度の人手不足に悩む企業が引き抜き合戦をして疲弊する中、従業者移動防止令が制定されたあたりから、従業者の転職が規制される代わりに、賃金統制令により労働者の雇用条件が継続的に補償される動きとなったのです。
さてその終身雇用制度。
元々は職人がより良い条件の会社に移動することが発端で始まったと言っても過言ではありません。
より技術があれば、より良い待遇でヘッドハンティングされることを抑止する為にできたのです。
このお話当たりは、誰もが異論のない所だと思います。
しかし、いつの間にか「長い期間いれば自動的に昇給する制度」として勘違いの認識をされるようになっていまいました。
逆の言い方をすれば、能力がなくても勤続年数が長くなれば昇給する制度です。
冷静に考えれば、そんなバカな話はあるのか?ともいえるのですが、残念ながら日本の教育制度の影響で「長い期間会社に在籍すれば自動的に昇給する制度」という意識が根付いてしまいました。
その為、自分よりも勤続年数が短い人が自分よりも給料が高い事を知ると「なぜあんな若造が」という思考が生まれて来るのです。
経団連の中西会長が「終身雇用は無理」というコメントを出しました。
私も経営者の端くれですので、十数年前からこの感覚を持っていたのですが、経済界のトップが自ら発言することで改めて世に知らしめられたのではないかと思います。
これはどういうことかというと、「能力なりの給料しか払えない」という極めて当たり前の話を表明しているのです。
では労働者としてはどうすれば良いか?
答えは一つです。
現時点の給料以上のパフォーマンスを実現することです。
タマゴかニワトリかの話ではありませんが、今得ている給料なりの仕事、若しくは給料以下の仕事しかしていない場合、永遠に給料は上がらないでしょう。
とても厳しいですが、現実の話です。
今得ている給料以上のパフォーマンスを出している人の給料は、それ相応の給料になるでしょう。
もし、会社が正当な評価をしないようであれば、より収入の高い会社へ移ることはたやすいでしょう。
何故なら、給料以上のパフォーマンスを出していると言える人は、自分の価値を認識できている人であり、より良い結果を出す為に何が必要なのかが理解できている人だからです。
労働市場という言葉があります。
自分の労働力は商品で換金化できるものです。
商品であるならば、自分の価値が高まれば商品代金も上がるのは必然。
自分の価値が低い、または伝わらないのならば商品代金も下がるのはこれも必然です。
現在、最低時給制度という非常に悪い制度があります。
最低時給制度があるおかげで本来雇用できる人を雇用できないという弊害があります。
例えば、時給換算で500円の仕事があるとします。
しかし最低時給が500円を超えている場合、人を雇用することはできません。
今の日本の国の諸悪はここです。
最低時給よりも低い業務を社員、アルバイトにさせることができないのです。
結果どうなるか?
業務委託という名の外注になるのです。
極論ですが、時給500円のパフォーマンスしかない人材を雇用することはできないということです。