筆者は不動産業に携わっているので、相続の現場にもよく遭遇します。
相続人同士の人間関係が良好でスムーズにいく案件もありますが、やはり一難二難ある相続が多いように感じます。
もっとも、私の所に相談にお見えになる方は、他の不動産会社に依頼したがうまくいかなかった。という方が多いので仕方のないことかもしれませんが。
さて、そんな相続。いや、争続の現場。
財産があれば、奪い合い。
借金があれば押し付け合い。
という悲しむべき事態が発生しています。
葬儀の時から相続人同士のバトルがスタートしているのかと思うと気の毒になります。
終活のススメでも書きましたが
相続人同士が争わないためには、親が相続財産についてきちんと、受け渡し先を決めておくことが最善です。
遺言ですね。
現在ある財産をどうするか?
余すところなく記載しておくことがスムーズな相続につながり、ひいては相続人同士の争いを防ぐことができます。
この遺言書を作成する時に、最大の注意をしたいのが不動産です。
というのも株や現金はその価値が分かりやすく、しかも分配しやすい。という特徴があります。
それに比べると不動産は、総額が比較的高くなるものの、換金性は劣ると言わざるを得ません。
また、売却しようとすると何かしらの問題が発生することも珍しくありません。
事例を出した方が分かりやすいですね。
不動産を売却する時に、その敷地の境界線を明示する必要があります。
赤い印の位置に境界標が埋設されている。。。ハズです。
しかし、上部にブロックが載せられていて境界標が見えない。ということやそもそも境界標が埋まっていない。ということはよくあります。
測量会社に依頼すると、30万~50万費用がかかります。
自分で勝手に境界標を設置することはできません。
また、上図で「道路」と書いてある部分が私道である場合、建替えや道路の利用に支障が発生する可能性が高くなります。
私道についてここでは深く説明をしませんが、私道=ダメということではありませんのでご注意ください。
また、上下水道の管が道路から直接引き込まれているのではなく、隣地を経由して引き込まれていることもあります。
不動産は見た目だけで判断がつかないのです。
もらった後に、いざ売却しようとしたら数百万の負担が。。。
これでは困りますよね?
ではどうすれば良いのか?
相続が発生する前に、不動産の健康診断をすることです。
売却する上で問題になる部分がないかどうか調べるのです。
その上で何か問題が見つかれば、相続発生時前に問題を解決しておくのです。
相続税の課税の制度というのは、不動産に問題があってもなくても、相続税評価額は基本変わりません。
例えば何かしらの問題があり、それを解決するために500万必要だったとしても、相続税評価額は変わりません。
であるならば、生前に問題解決をしておけば、その分財産が減ることになり相続税評価も低く抑えられるのです。
税金の問題だけではなく、残された相続人が問題解決に奔走しなくてももすみますから、大きなメリットになります。
「知らなかった」で数百万円損するのは誰でもイヤですよね。
今のうちから対策をしておけば、相続になって困ることはありません。